コースの概要

代数学・幾何学・解析学等の数学、量子力学等の理論物理学、AI やデータサイエンス、を中心とする数理科学について幅広く学びます。
これらの学習や研究を通して、地球環境課題などにも活用の出来る数理科学的手法やデータ駆動型方法を身に付けます。

コースの特徴

数学や物理学の問題が解けたときに爽快感を感じた方が多いと思います。数学や物理学を学ぶ際の醍醐味の一つです。また、何かを発見したり新しく考えだしたりすることが数理科学では重要です。当コースでは、少人数教育を実施し、わからなかったことがパッと分かる経験を繰り返しながら楽しく数学や物理学、環境科学を学び、新しい何かを自発的に探す力を身に付けていきます。
また、外国人教員による英語を使った授業や海外留学の推進によりグローバル社会への対応力を養い、数理科学分野の研究者の育成も視野に入れた教育を行います。

どんな人材を育てるか

数学、理論物理学、環境科学、データサイエンスの学習や研究により、論理的かつ柔軟な思考力とデータ測定・解析能力を持ち、数理科学的発想を現実的な問題に活用できる人材を育成します。また、中学校・高等学校教員(数学)となって地域の理数系教育の更なる向上に貢献出来る人材を育成します。

研究テーマ

離散系数学分野

立方体数独
示された立方体の各面に1から16までの数字を1回ずつ、そして、立方体を1周回るときに1から16までの数字が1回ずつ現れるように配置してください。右の図は立方体の展開図です。組合せデザインを応用した数独パズルです。

アリの群れが餌場までの最短経路を見つけるアルゴリズム(ACO法)の画像エッジ検出への応用と標準的手法(Canny法)の比較
  1. 代数学については、群・半群の表示と語の問題などのアルゴリズム・計算可能性・計算複雑性を研究しています。
  2. 離散数学については、語の組合せ論、グラフ理論、ゲームとパズルの組合せ構造を研究しています。
  3. 計算機科学については、暗号理論と情報セキュリティ、群知能、バイオインフォマティクス、オートマトンと形式言語理論とアルゴリズム解析への応用を研究しています。

連続系数学分野

この図は代表的な2つの積分を表しています。リーマン積分は高校や大学の 1, 2 年で習う積分です。ルベーグ積分はより理論的な積分で、 確率論や微分方程式論 など、 連続系数学のいろいろな分野を陰ながら(?)支えています。
投影写像を通してかたちを調べるときの、2次元トーラスの例。目に見えない一般の次元の「かたち」も、このトーラスのときと同じように、写像を通してその姿をとらえることが試みられています。

曲線、曲面や、さらに高次元の図形の形やその応用を調べる幾何学系の研究、その図形の上で連続的に変化する関数やベクトルの様子やその応用を調べる解析学系の研究を行っています。特に主要テーマのひとつは、直接把握出来ない形状を調べることです。高次元であるために直接把握できない図形を平面などに投影し、出来上がる輪郭線や写像ファイバーを用いる幾何学的研究、熱方程式や確率論を用いて未知の空洞の形状を推定する解析学的研究などを行っています。

理論物理学分野

ワインボトルの底型のBerry曲率
量子の状態を表す関数のねじれ具合を測るBerry曲率と呼ばれる量を視覚化した図
超伝導マイスナー効果による磁気浮上
素粒子論のヒッグス機構と同じように、対称性の自発的破れが電磁場に質量を与えるとして説明できる現象

物理学の研究対象は、素粒子や原子核をはじめ、原子や分子からなる様々な物質群、そして宇宙など、実に多岐にわたっています。また、物理学の分野は大きく分けると理論物理学と実験物理学に分類することができますが、本グループでは主に理論物理学に属する分野の教育と研究を行っています。実際の物理系やそれらが示す現象の特徴を抽出して抽象化した数理模型の記述方法や、それらの模型を解析するための数学的方法および数値計算手法などを学ぶことができます。

数理環境科学分野

多項ロジスティック回帰による鉱物の組成分類
鉱物が持つ化学組成を多次元のデータとして捉え、その形成プロセスや起源に迫ります。
高精度・高感度質量分析計
数理的手法を用いて環境科学で利用される先端的な分析法の開発や環境試料の分析が行われています。

数理環境科学は、地球の構成物質や自然現象を研究対象とする数物系科学の中の一分野です。数学・物理学・化学・生物学が融合的に関わる学際的な学問です。研究対象が何であっても自然現象を理解するには、観測・実験データから数理的なアプローチで自然現象の本質を明らかにすることが重要です。本コースの数理環境科学分野では、特に固体地球に関連するテーマの研究と教育を行なっています。学生はデータ取得から解析手法まで幅広く学ぶことができます。