コースの概要

応用化学コースでは原子・分子レベルの化学から化学を活かしたものづくりまでをカバーした教育研究を行います。天然および人工の無機材料、有機材料、エネルギーに関連した化学工学からバイオプロセスまで幅広い化学の専門分野を学びます。

コースの特徴

近年の先端科学技術の高度化・深化に伴って基礎の重要性が再認識され、理学・工学という既存の枠組みを超えた教育と研究、さらには、この広領域を俯瞰して活躍できる人材の育成が求められています。応用化学コースは、化学に関する基礎(理学系分野)から応用(工学系分野)までをカバーしていることが大きな特徴です。また、これまでの伝統から、環境やエネルギーに関わる諸問題にも対応していることが特長として受け継がれています。化学および化学技術をベースにして社会で活躍したい意欲のある学生を応援します。

どんな人材を育てるか

「化学物質」、「化学プロセス」について幅広い視点で現象を分析する能力を有し、環境と技術の調和を図る事ができる視野の広い人材を育成します。

研究テーマ

有機材料化学

機能性有機材料の合成と機能解析

有機材料にはプラスチック、ゴム、塗料、接着剤、繊維、木材、タンパク質など様々なものがあり、これらの特性は分子構造やその集合体形式に大きく依存します。本研究室ではこれら有機材料の機能発現を分子レベルで理解し、さらには新しい有機材料について分子構造からのデザインと合成を行います。新しい機能性物質や高付加価値製品の設計や合成に関する教育と研究を行います。

無機材料化学

環境にやさしい、環境浄化に役立つ無機材料を創り出す

身の回りの様々な素材を合成する化学プロセスの省エネルギー化や大気汚染物質の浄化に利用する無機固体材料、特に触媒や多孔質材料の調製を行っています。また、その物質の結晶構造をX線や核磁気共鳴を利用した分光法により原子・分子レベルの視点から解析し、その機能を生み出すメカニズムを明らかにすることを目指しています。

応用物理化学

身近な物質を素材に環境・エネルギー材料を設計する

性質の異なる素材を複合させることで新しい機能を有する物質を創り出す研究を行っています。例えば、感温性高分子と吸着剤を組合わせると、低温では水中の金属イオンを良く吸着する一方、高温では吸着剤が凝集するので回収しやすくなります。また、再生可能エネルギーとして注目されている木質や稲わらなどのバイオマスを気体や液体燃料に効率的に変換する触媒の開発も行っています。

バイオプロセス工学

生体反応を利用した機能性物質の創製とその利用

培養細胞などの生体機能を利用した生体関連物質の高効率生産とその利用に関する研究を主に行なっています。例えば、昆虫細胞によってヒト血圧調節の中心酵素レニンの大量生産にはじめて成功し、これは多くの血圧抑制物質の発見につながりました。また、天然ゴム合成に関わる酵素群の遺伝子を植物からクローニングし、天然ゴム合成機構の解明と微生物を用いた天然ゴムの生産に取り組んでいます。

エネルギー化学工学

クリーンエネルギー・資源循環型社会構築のための化学と技術の創出

エネルギー効率が高くかつ環境負荷の少ない化学反応プロセスの開発とそれを実現する装置の設計を行っています。石炭やオイルサンドなど化石エネルギー資源のクリーンエネルギーへの変換、電子機器・材料の高性能化のためのナノ微粒子合成、E-wasteからの貴金属やレアメタルの選択的な分離回収、VOCや廃水の無害化のための超音波や紫外線を用いた環境浄化プロセス等の開発に取り組んでいます。

反応プロセス工学

環境調和型社会を構成する反応プロセスの設計・開発

反応プロセス工学研究室では、種々の化学反応や分離操作など物質移動が伴う新しいプロセスの開発を行うとともに、社会のニーズに適合するプロセスのシステム化や集積化を目指した教育と研究を行っています。現在、バイポーラ―型イオン交換膜を利用したリチウム電池リサイクルプロセス、さらには種々の化学反応を伴う電気透析法による汚染水処理クローズドシステムの開発等が進行中です。

コース共通教員