電気電子工学科 【吉村研究室】

私達の身のまわりには電気を流しやすいものと、流しにくいものがあります。金属は電気を流しやすく、「導体」と呼ばれ、発電所から私たちの家庭まで電気を運ぶケーブルなどに利用されています。一方で、プラスチックやガラスは電気を通しにくく、「絶縁体」と呼ばれ、コンセントのカバーなどに使われており、私たちを感電から防いでくれます。また、これらの中間の性質を持ったもの、「半導体」と呼ばれるシリコンやガリウムが存在し、パーソナルコンピュータなどに沢山使われているのを知っている人も多いでしょう。これは、材料の違いと形状の違いによ決まってきます。例えば、管に水を流すことを考えてみましょう。太くて短い管はたくさんの水を流すことができます。でも、細くて長い管ではたくさんの水を流せません。電気も同じで、太くて短いものはたくさん電気を流し、細くて長いものはあまり電気を流しません。電気の流れにくさを「抵抗(Ω)」で表しますが、これは次の式のように、物の長さに比例し、断面積に比例します。長さをL(cm)、断面積をS(平方cm)とすると、

R=ρ×L/S

でρ[ロー](Ω・cm)は物質により決まる値で、「抵抗率」と呼ばれます。例えば、同じ材料(同じρ)でも、半径が1cmで長さ(高さ)が1mの円柱と半径が10cmで長さが1mの円柱では先の円柱の方が100倍も抵抗は大きくなります。

 材料による違いはどうでしょう。地球上で最も電気を流しやすい(室温)の銀で、その抵抗率はρは1.62×」10の-6乗(Ω・cm)です。半導体のゲルマニウムで数十(Ω・cm)、ガラスで10の18乗(Ω・cm)にもなります。私たちの身のまわりの物では、木材が10の6乗(Ω・cm)程度、水道水で10の4乗程度になります。木材は種類や切り口、水は水質によりその値は大きく異なります。濡れた手で電気製品を触ると危ない!と言われるのがわかりますか。水は案外電気を流しやすいのです。