情報工学科 人間情報工学講座

図1/ランドサット衛星から見た秋田県

図1/ランドサット衛星から見た秋田県

図2/秋田市近郊(1984年撮影)

図2/秋田市近郊(1984年撮影)

14年後

図3/秋田市近郊(1998年撮影)

図3/秋田市近郊(1998年撮影)

*図中(図1~図3)、海や湖などの水域は黒く、森林などの植生は赤く表されています。

現在、たくさんの人工衛星が地球の周りを回っています。その中の一つ、ランドサット5号という人工衛星から秋田県の中心を見ると図1のようになります。もし皆さんが秋田県に住んでいるとしたら、きっと見覚えのあることでしょう。このランドサット衛星は地上から705km上空を、99分間で地球を一周し、16日ごとに元の場所に戻ってきます。その間、人工衛星の目となるリモートセンサ(一般的にはカメラやスキャナなど)が地球を観測しています。衛星の目(センサ)にも人間と同じように“視力”があります。これは分解能と呼ばれ、ランドサット衛星の場合は30mです。つまり、30m四方の情報が1つの点として表されるのです。

図2は1984年の秋田市近郊をランドサット衛星により撮影した画像、図3は図2と同じ地域ですが、1998年に撮影した画像です。この2枚の画像を比べてみると、秋田空港の滑走路も分かりますし、宅地造成により住宅地(御所野ニュータウン)の作られた様子や、秋田自動車道が新たに開通した様子も分かります。このように取得時期の異なるデータを比較すると、人工構造物の変化なども理解することができます。

ところで、最近地球全体の環境が変化しているということをテレビや新聞で見たり聞いたりしていると思います。しかし、環境変化といっても、ある地域における海水の温度上昇であったり、広大な地域における熱帯雨林の減少であったり、場所も時間も違ったり…と現象は色々です。そのような変化を人間が手作業で一つひとつ調べるのはすごく大変です。また、現象の変化を理解するには、変化の起きている地域はもちろんのこと、地球全体で考えた方が良い場合もあります。したがって、人工衛星を用いて定期的に観測することは地球全体の環境変化を知る上で大変重要なのです。このように宇宙や上空から地球観測する技術をリモートセンシング、環境を観測することを地球環境観測と言います。