コースの概要

材料理工学コースでは、金属、セラミックス、半導体をベースに、材料物性の微視的発現機構を探求しながら生産プロセスの技術開発を実現するための教育研究を行います。固体物理学、固体化学、金属材料学、セラミック材料学を中心として基礎科学から材料の工学的応用までの幅広い分野について学びます。

コースの特徴

材料理工学コースのカリキュラムの特徴は、原子配列や電子状態などのナノスケールレベルでの現象から材料の性質が生まれる仕組みを学んだ後に、その仕組みに基づいて発現するマクロスケールレベルでの材料の物理的、化学的性質を学ぶ、段階を踏んだ教育プログラム構成にあります。材料理工学コースでは、今日の社会が直面するエネルギー、環境の諸課題に対応するために、従来型の材料工学を更に進めて、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの開発手法を積極的に取り入れながら次世代先端材料や、レアメタルなどの希少元素に代わる代替材料の開発を推進するための教育研究活動を実践します。

どんな人材を育てるか

材料理工学に関する知識・教養を駆使して、今日の日本や世界が直面するあらゆる技術的問題に挑戦する創造的な研究者、技術者を養成します。

研究テーマ

材料組織・構造制御学分野

新物質・新機能創出の鍵を握る組織・構造制御

  1. 電子顕微鏡を駆使して合金の組織・原子配列・欠陥を評価し、特性向上を目指した組織・構造制御に関する研究を行っています。
  2. 金属の組織形成・流体・伝熱などを融合したマルチフィジックス解析から材料組織の形成機構を解明しています。
  3. 金属・合金材料がもつ多様な微視的構造と物性の関係を明らかにし、得られた知見を新合金作製に応用することを目指しています。

エネルギー・セラミック材料分野

直接アンモニア燃料電池の概念図

セラミック材料(リーマ)の試作品

エネルギー、硬質材料の先端を目指して

  1. 燃料電池用高性能電極触媒の開発やCO2を有用な物質に変換するプロセスを研究しています。
  2. 炭化物・窒化物系硬質セラミック材料の開発や微細組織制御と機械的性質を研究しています。

材料設計学分野

Be44Ti19クラスターの電子密度図

電子状態計算と材料開発への展開

新規な組成の合金に対し分子軌道法による電子状態計算により得られた知見を応用することで、金属材料の耐食性等を制御した材料設計を試みています。

物性・機能材料科学分野

有機―無機複合層状ぺロブスカイト材料

特異な電子・光・磁気・化学機能材料を目指して

電子・光・磁気・反応性などの機能は、膨大な数の原子や分子の集合体である固体や液体などの「凝縮系物質」で発現します。凝縮系として無機、有機、金属材料を対象に、物性を電子状態から把握し、機能を司る構造(原子・分子配列、次元) とサイズ(ナノ・波長レベル)を精緻に制御、形成することで、卓越した光物性・磁性・伝導性などの機能や特異な反応性を有する材料創出に向け研究しています。

材料加工プロセス学分野

左上:27Cr白鋳鉄母材でサーメット・WC粉末を鋳ぐるんだ局部強化試料

左下:純銅鋳物の破面に見られる樹枝状晶

右上:銅箔の疲労試験と疲労過程のシミュレーション

高度な加工・解析技術による高機能製品の実現

  1. 鋳造技術を応用して、高い耐摩耗性を有する複合材料や、金属とセラミックスの新たな接合技術などを開発しています。
  2. 材料の変形・疲労特性を正確に計算機シミュレーションに反映させるための技術を開発し、それを新機能材料の開発に応用することを試みています。