環境物質工学科  【物性工学研究室】

 塩、砂糖、小麦粉、こしょう、七味唐辛子、さんしょなど食品関連だけでももっとたくさんの“こな”があり、また身の回りに“こな”はあふれています。“こな”は見てのとおり小さい物体の集まりです。漢字で書けば“粉”です。粉を国語辞典で調べてみると、「きわめてこまかくくだいたもの」とあります。また、漢和辞典で調べてみると、「米をくだいたもの、すべて細かにくだいたもの、おしろい」などがあります。これから、おおもとの意味はものをくだいて小さくしたものが粉であることがわかります。

 これをもう少し工学的にとらえてみましょう。小さくくだいたものが粉であることは認めるとして、では、どのくらいの大きさからが小さくて粉なのか?例えば、10cmくらいの球を集めて粉というのか、1cmでは、1mmでは、0.1mmでは…ここで粉の共通する特徴について考えてみます。一つ目は固体が小さく分かれていてその各部分が互いに拘束されていないこと。二つ目は確率・統計的な特性をもつこと。三つ目は表面の特性が全体の挙動に対して支配的であること。なにか分かりにくい表現ばかりですが、一つ目は粉がくっつきあい大きい塊になっていない状態を示しています。二つ目は粉はきれいな形状そろった直径を持たず、ある分布をもって存在することを示しています。三つ目は粉はつぶの大きさが小さいので表面積が非常に大きくなっており、重力より付着力が大きく効いていることを示しています。

 さて、こうして細かくみると大きさがいくらから粉であるとは明確には定義されていません。そして使用するものや使用の仕方によって変わってきますので,実際に使用される場合において粉としてみるかどうかにかかわってきます。最後にもう少し知りたい人のために参考文献を示しておきます。

 「粉体の科学」 神保元二著 講談社ブルーバックス