履修モデル

 

 

研究内容紹介

小さな世界の大宇宙「ナノテクノロジー」

 近年、ナノテクノロジーによる機械の小型高性能化は目覚ましく、普段の生活でもコンピュータや携帯電話などの製品を通してその恩恵を実感できます。こうした進歩には、部品の一つ一つをナノスケール(10億分の1メートル)で小さく作り出すことはもちろん、目に見えないサイズの加工や性能評価などの技術が重要となってきます。本研究室では、ナノ構造体の創製・加工・評価などの様々な方法でナノテクノロジーに取り組み、伝統的な機械工学の枠を超えた他分野への展開を目指しています。また、医療への貢献を目的に、ナノ・マイクロ領域の力学を基にして、生体モニタリングなど人間対象の研究、さらには航空機に関する研究も行っています。

 図1は、独自の技術で作り出した様々なナノ構造体を電子顕微鏡で観察している様子です。ナノコイルはバネとしての利用はもちろん、極小の電磁石や電磁波吸収材として応用が期待できます。また、ナノチューブやナノフラワーは、広い表面積を有するため、化学触媒、センサなどへの応用が期待できます。図2は、センサの上に寝るだけで心拍と呼吸の同時モニタリングが可能となっています。

図1 ナノ構造体の創製

 

図2 心拍呼吸モニタリングセンサ
専門分野:材料力学、ナノテクノロジー
教授 村岡 幹夫
准教授 趙  旭

 

熱・流体現象の物理から航空機まで

 水や空気の流れや熱の移動についての研究を行っています。円柱や角柱などを水や空気が通り過ぎると渦が生じたり、その渦が振動したりすることがあります。なぜ、そのような渦が発生したり消滅したりするのか(流れのパターン変化)を調べます。そしてそのとき、熱の伝わりが良くなるのか悪くなるのか、どうなっているのかということなどを明らかにしていきます。このような研究は、熱流体機器の高性能化につながり、環境問題や自然エネルギー開発の成否に関係する重要でやりがいのある、おもしろい研究です。最近は航空機関連の研究も行っています。

 図1は、航空機の電動化に関する研究で、航空機からの排気を利用した熱エネルギー回収に関する熱力学モデルです。図2は、客室内の排気の流れを評価するために用いるマルチファン型風洞のモデル図です。風洞実験により,排熱および空調システム(換気,温度調整)を最適化する研究に取り組んでいます。

 
図1 電動化航空機の空調システムT-s線図

 

 
図2 マルチファン型風洞
専門分野:流体力学、熱力学、伝熱工学
教授 足立 高弘
准教授 秋永  剛
講師 高牟礼 光太郎

※ 足立教授の出演する夢ナビ講義動画は、こちら 

 

空と宇宙に挑戦する機械

 航空機や宇宙機について、運動の解析や、システムの検討を行います。主な研究分野として、スペースデブリ(宇宙ごみ)対策があります。地上から観測不可能な微小なデブリの存在密度を知るために、人工衛星表面に生じる微小な衝突痕を自動で観測する装置を提案しています。

 図1は、模擬衝突痕をつけた太陽電池を撮影し、機械学習を用いた画像処理で検出している様子です。さらに、デブリを捕獲し、大気圏内へ落下させる除去技術についても、運動の解析を行っています。月・惑星探査の分野では、月で最近発見された縦孔への降下技術、火星の極域探査車の走行技術、小惑星土壌サンプルの採集装置について研究しています。航空機分野では、航空機電動化プロジェクトに参画し、飛行制御アクチュエータの電動化に関する研究を行っています。とくに、電動アクチュエータの信頼性を高める冗長化メカニズムと、フライホイールバッテリを用いてアクチュエータの電力デマンドの変動を平準化する技術について、モデルベール開発と、制御系の開発を行っています。図2は、飛行制御アクチュエータ系の電力平準化・システム冗長化の模式図です。

 

図1 模擬デブリ衝突痕の自動検出

 

 

図2 航空機用電動冗長アクチュエータ

 

専門分野:宇宙工学、航空工学
講師 平山  寛